独立開業すれば(多くの場合では)個人事業主です。
税金も納めないといけません!
ここは是非とも「賢い納税者」になることをオススメします。
みんなが納税しているからこそ実に様々な恩恵を受けられるわけで、税金は絶対に必要な仕組みです(国民の義務でもありますしね)。
しかし我々、個人事業主からしてみれば税金は「出ていくお金=コスト」という側面もあるのも事実です。
そこで今回は税金をコンパクトに抑えるための具体的な方法について考えてみましょう。
税金対策はバッチリ!という場合は読まなくても大丈夫ですよ~。
◆脱税はNG、節税はOK
まず、そもそもの話になりますが、「税金逃れ」はできません。
所得隠し、過小申告、脱税…絶対NGです。
しかしながら、制度を知り活用することで税金を節約する節税は全面的にオッケー、全くの合法なのです。
だったら節税やらなきゃ損ですよね!
知らなかったり、手続きをしなかったり、それだけで本来なら支払わなくてもよかったお金を納めることになってしまいます。
ちょっとでも節税していきましょう。
個人事業の治療院ビジネスで節約可能な税といえば「所得税」でしょう。
所得に応じて課せられる税なので、稼げば稼ぐほど税率は上がります。
この所得税を抑えるには「課税所得を圧縮」しなくてはいけません。
「ほんじゃ節税のために所得500万円を200万円って確定申告しよう!」
というのは虚偽の申告であり、犯罪なのでダメですよ。
ルール違反です。
じゃあどうするかという具体的な話がココからです。
簡単にやれる順にいきますね。
◆具体的な節税 ①~③
①まずは経費計上。
当たり前みたいですけど、キッチリ経費計上をやっていると効果ありますよ。
事業に関連する支出(出費)は所得から差し引かれますので、細かい出費も正確に計上することで、所得を圧縮できます。
治療院ビジネスは基本的に治療や施術という形のない「技術」を売っているので経費を計上しにくい業態です。
そんななかで事業に関係する経費といえば、治療院関連の
物品購入、テナント賃料、光熱費、電話代、往診のガソリン代、交通費、広告費
…などがありますね。
・事業に関係する本やDVDの購入費用を新聞図書費として経費にできます。
・学会に行くために新幹線やタクシーに乗ったら、それら全額交通費で経費です。
・往診(出張)にクルマを使うのであればリース契約にしておきましょう。
事業用の車のリース料は賃借料として全額経費として扱えます。
・「同業者の先生と一緒に食事をしながら情報交換を行った」とか「患者さんにお土産を買った」という場合の代金も接待交際費としての経費計上が可能です。
個人事業主は接待費に上限がないのでしっかり領収書をもらっておきましょう。
領収書の裏に日時・人数・どんな話を、など簡単にでもメモしておくと更にいいですね。
・また治療技術向上のために研修に出向いた際の宿泊費も旅費交通費として扱えます。
言葉を選ばずに表現すれば「遊ぶついでに研修も受けてくる」のはダメな場合もあります。
この辺の仕組みというか感覚を理解して、経費化できるものはしっかり申告しましょう。
事業に関係するもの、事業をより良いものにしていくために必要だったものについては経費として認められるはずです。
勘定科目はネット検索すればスグに出てきます。
キッチリと経費計上し確定申告すれば節税に繋がりますよ。
※ただし従業員のいない「一人個人事業主」は福利厚生費が使えません。
一人だけだと福利厚生なのか個人のための出費なのか判断がつきにくいからだそうです。
②次は確定拠出年金と小規模企業共済。
ものすごく簡単にいうと、所得から全額控除できる年金・退職金の積み立て運用の仕組みです。
・確定拠出年金は月5,000円から月68,000円の個人年金の仕組みです。
自分で金融機関に申し込んで運用してもらいます。
※60歳になるまで何があっても現金化できません。
・小規模企業共済は月1,000円から月70,000円の小規模企業向けの退職金形成制度です。
※途中解約ができます。
例えば確定拠出年金に月額上限の68,000円ずつ支払っていけば
年間816,000円の所得圧縮効果があります。
同じように小規模企業共済を月額上限の70,000円ずつ支払っていけば
年間840,000円の所得圧縮効果となりますね。
仮に両方に上限マックスを支払っていけば
年間1,656,000円もの額を所得から差し引くことが可能で、当然ながら所得税も違ってきます。
いきなり満額はなかなか難しいかも知れませんが少しずつ増やしていくことも可能ですので、まずは調べてみることをオススメします。
事実上の貯蓄であるにも関わらず、その全額が所得控除となる強力な仕組みですからね。
節税をお考えなら間違いなしです。
・確定拠出年金
・小規模企業共済
もし仮に、もっと利益が出てしまうようでしたら経営セーフティー共済も使えますね。
急激に利益が出そうな年に活用してみてください。
③最後は法人化。
ご存じのとおり、個人事業主としての所得が多くなってくると累進課税なので所得税の税率が高まってきます。
だったら法人化して「法人税」を納めたほうが安く上がる…ということもあります。
法人化・法人成りすると節税もさることながら一気に成功した気分になるかも知れませんが、これについては慎重に判断したほうがいいというのが私の考えです。
軽はずみに法人化してはいけません。
理由は大きく2つ。
まず何かと手続きが面倒であること、次に何かとお金がかかること、です。
この面倒な手続きのために税理士さんは絶対必要になります(つまり税理士費用が必要)し、代表者が引っ越しただけでも届けが必要だったり、法人を設立するにも解散させるにもお金がかかったりします。
節税目的で法人化したのに、それ以上の経費が発生したのでは目も当てられません。
長期的に考えれば節税や退職金、家族への報酬等でメリットもある反面で、煩わしい手続きや法人ならではの出費が多くなることも考えておかなくてはいけませんね。
◆困ったら専門家を頼ろう
経費計上・確定拠出年金・小規模企業共済・法人化、ザックリと節税の方法をみてきましたが、いかがでしょうか?
まずはキッチリと経費を計上して、その上で確定拠出年金や小規模企業共済を活用して所得を圧縮するのが現実的かつ効果的ではないかなと思います。
もし税金のことで困ったり、もっと節税したいという場合には個人事業主のまま税理士さんと契約するということも可能です。
確定申告だけお願いするというのも全然アリですよ(私も税理士さんに依頼しています)。
ネットで拾い集めた知識をもとに節税するよりも効果的な方法を提案してもらえるかも知れませんし、何より確定申告を代行してくれるので面倒な作業から解放され自分の仕事に集中できますからね。
費用については思いのほか安い!ということが珍しくありません。
近年「士業」はどこも経営的に大変らしいですからね。
こういうサイトを使って税理士さんを調べてみるのもいいかと思います。
比べてみると報酬額が高いところ、安いところ、いろいろありますからね。
・税理士の報酬を比較したい方はコチラ
事業を営む以上、税金や節税は切っても切れない課題です。
特に治療院経営は億万長者にはなりにくいので、税金を含めた「出ていくお金」をコンパクトに抑えることが大事かなと思います。
税金の仕組みを知り、上手に利用して、有利に立ち回りたいところですね。