鍼を扱う以上、痛くなく切皮を行うことは大前提です。
切皮が痛いようでは治療どころではありませんからね。
まずは痛くなく鍼を打つようにしましょう。
ちょっとしたポイントを確認していけば必ず不快な痛みのない鍼が打てるようになりますよ。
基本的な操作(衛生を含む)は教科書通りにやるだけかと思いますが、私が注意している点を書き出してみます。
何よりも「押し手」が重要
押し手が安定しないようではどうやっても痛い鍼になってしまいます。
基本に忠実に親指と人差し指で皮膚を伸ばすのですが、これがキッチリできていないと痛くて不快感の強い鍼になること間違いなしです。
「これでもか!」というぐらいに患者さんの皮膚を張ったところにスッと鍼管を差し込みます。
鍼管と皮膚の間にスキマができるといけません。
しっかり密着するように差し込んでやります。
ポイントは皮膚を張る2本の指だけを意識して、あとは手の力を抜いてやることです。
手首が全体的に固く緊張してしまうと、その余分な「力み」が患者さんにも伝わり無意識的に身構えてしまいます。
押し手の先以外はリラックスさせておくというのが良いと思います。
このとき必ずしも小指側の面を患者さんの皮膚面に接地しなくてもいいんじゃないかと私は考えています。
接地面積が増えるほど安定はしそうですが、その反面で余計な張力を生んでしまい、押手でつくった皮膚の張りに別の影響を与えかねません。
私は親指と人差し指の先以外は宙に浮いている状態で切皮を行うこともあります。
「刺し手」は重力を使う
スパッと切皮するには重力の利用が絶対に不可欠です。
筋力で指先をコントロールするのではなく、手首から先は脱力してブラブラな状態で切皮することが大事です。
手首から先を重力に任せて落とすようなイメージです。
筋力は疲労の程度で一定した出力になるとは限りませんが、手首から先の重量と、それにかかる重力は限りなく安定しています。
脱力することで力(重さ)が鍼に安定して伝わります。
そして指先が鍼に触れた瞬間、熱い物に触れた瞬間に逃避反射が起こるような感じで引き上げます。
その後はまた脱力し数回に分けてトントントントン…と完全に切皮を行います。
あと、示指の末節骨中央部あたりではなく末節骨基底部あたりで鍼柄を打つイメージが良いと思います。
前者の場合ですと比較的丸く柔らかいので鍼へ伝わる力のベクトルが不安定になりがちですが、後者ですと骨の基底部という硬さのある箇所が目印となり安定的な切皮が行えると私は感じます。
これだけを確実に守ればおそらく痛くない鍼がうてるようになると思います。
慣れるまでは変な感じがするかも知れませんが、練習あるのみです。
まとめ:「脱力」が切皮のコツ
押し手・刺し手とも【脱力】することが重要です。
力を入れるのは簡単ですが、力を抜くのは慣れるまではなかなか難しいものです。
指や手首のストレッチをしっかりし、呼吸を落ち着かせて、歯を噛みしめないようにするといいかも知れません。
繰り返しますが、まず痛くない鍼が打てないことには話になりませんからね。
千里の道も何とやら。意識的な操作ができれば絶対にできるようになります!
シリコンの練習台や自分の足なので反復練習してみてください。
コツさえ掴んで練習を重ねれば間違いなく誰にでも身につく技術ですよ。
もしよかったら参考にしてみてください。
◆切皮について その2 も読む