患者さんが自賠責保険を利用して鍼灸治療、マッサージ治療を受ける場合には、労災保険や健康保険のように法的に定められた料金体系基準がありません。
基本的には自由診療です。
ただし自由診療とはいえ全くの自由で法外な請求が可能というわけではなく、「必要かつ妥当」な治療費でなければいけません。
元裁判官の著書や、裁判所の判断などを参考にしますと、概ね「労災基準の1.5倍から2倍が上限の目安」とされているようです。
厚生労働省の「労災保険 あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師施術料金算定基準について」を見てみますと、令和4年10月1日以降の施術分は以下のように定められています。
・初検料 2,980円 (初回のみ)
・はりきゅう (1日1回限り)
(1術のみ) 2,940円
(2術) 4,070円
・マッサージ 2,940円 (1日1回限り)
・はり又はきゅうとマッサージの併用 4,070円 (1日1回限り)
つまり、1回の治療費は上記の2倍額までが「必要かつ妥当」と認められやすいと思われます。
鍼と灸の2術、もしくは鍼灸とマッサージの併用で、8,140円が1回(1日)の治療費の最大値(の目安)です。
さらに鍼灸師・マッサージ師が電気・光線器具による療法を行った場合では1日1回限り550円が加算可能です。
また、マッサージ師が温罨法を併施した場合、1回につき150円の加算(ただし変形徒手矯正術との併施は認められない)、変形徒手矯正術を行った場合1肢につき450円が加算可能です。
これらも2倍額まで請求に加えることができます。
実施した際には忘れずに加算しましょう。
請求額の実例(私の場合)
これは、あくまでも私の場合ですが、治療費(はり1術のみ)5,000円に電気療法1,000円を加算させて、1回(1日)の治療費の合計を6,000円としています。
これは労災基準額の2倍を下回る「必要かつ妥当」な請求額です。
また直接の治療費とは別に、往療料、時間外加算料、休日診療、証明書料及び明細書料などについても請求が可能です。
これらの明確な基準は定められてはいないようです。
私の場合では、時間外加算料は1回につき3,000円、休日診療も1回につき3,000円、証明書料及び明細書料は1枚(1ヵ月に1枚)につき6,000円を加算請求しています。
いずれにしても、弁護士さんからも保険会社からも「高すぎる」とか「必要かつ妥当な範囲を逸脱している」という指摘を受けたこともありません。
請求通りの治療費が支払われている点から考えても問題ない額だと考えられます。
施術費用明細書は「加算料」の項目があるものを選ぶ
保険会社への請求に用いる「施術費明細書(施術内訳証明書)」は保険会社の指定用紙がある場合と、任意のものでいい場合と、どちらもあります。
任意の用紙が認められるのでれば、最初から「加算料」の記入欄があるものを選びましょう。
あとは治療費等の項目に従って記入欄に請求額を記入するだけ大丈夫です。
私も使わせてもらっている請求用紙のリンク先を載せておきますね。
・施術費明細書(施術内訳証明書)
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