3‐3◆もし裁判に発展したらどうする?他人事ではありません!



ここまで書いてきた手順で解決チームを結成し、弁護士さんに解決を依頼したにも関わらず、なぜか示談交渉がまとまらず裁判に発展した経験が1例だけありますので紹介します。


弁護士さんが対応する交通事故案件の9割は示談で解決するらしいので珍しい例のようです。


相手方の保険会社はS社としましょうか。


基本的には弁護士さんに全てお任せしていたのですが、あるとき「もしかすると裁判になるかも知れません」と連絡が入りました。


弁護士さんがS社を相手に裁判を起こすという話です。


続けて「患者さんと話して頂いて、裁判に進むか避けるか、考えておいてください」とのことでした。


患者さんが無過失の交通事故だったにも関わらずS社がなぜ支払いを渋ったのが疑問ではありますが、後に引けなくなったのかも知れません。


患者さんには、とにかく包み隠さずに経緯を話したところ「裁判しても構わない」ということで決まりました。


この件では弁護士特約がなかったため、裁判費用の数千円は私が負担することにしました(弁護士特約があれば裁判費用もそこから支払われます)。


裁判といっても、まずは簡易裁判からでしたので施術者や患者さんが出廷する必要はありません。


裁判で使う資料等を用意し、あとは弁護士さんが代理人として全部やってくれますから待つのみでした。


結論からいうと、その裁判は勝ちでも負けでも、地方裁判所への移送でもなく「和解」というかたちでの決着となりました。


治療費や慰謝料などは本来の請求額と比較して約9割の回収でした。


弁護士さんが

「こちらとしても早期解決のために最大限の譲歩をして、従来請求額の9割がS社より支払われるのであれば和解に合意するが、それ以下でしか合意できないのであれば地方裁判所で徹底的にやる」

と強く発言してくださったらしく、このような結果になりました。


保険会社としては、裁判の記録を残して「自賠責保険で鍼灸やマッサージが受けられる」という事実を世間に広めたくないでしょうから、判決より和解を選択したとも考えられますね。


このケースにおいては裁判で和解という結果を得られましたが、必ずしも毎回こうだとは限りません。


もし裁判になりそうな場合には、弁護士さん・患者さんとよく話して方針を決めてください。


弁護士さんを味方に付けた正当な請求であっても「裁判だなんてとんでもない!」という考えの患者さんも当然いらっしゃいます。


熟慮の末、裁判を避けるという選択も決して間違ってはいません。裁判を回避しつつ最も有利な条件で解決に持ち込むというのも弁護士さんの仕事です。


何にしても一番に優先すべきは患者さんのお気持ちだと私は思います。


患者さんとよく話して、しっかり確認して、方向性が決まれば、弁護士さんにお任せするのみです。


あとは堂々としていればいいと思いますよ。


民事裁判なんて全国で星の数ほど起こってますからね。


冷静に対処していきましょう。