今回は私が考える【鍼灸院経営の原理原則】を紹介します。
大企業でも個人事業主でも共通している「経営の原理原則」というものがあります。
個別のケースではなく、あくまでも「原理原則」の話ですが、非常に大事なことなので書いておきます。
これを実現できればどんなサイズの経営でも上手くいきますよ。
初めての開業で経営の超初心者であっても、基礎基本となる「たった2つの原理原則」を理解しておけば大丈夫です。
順番に見てきましょう。
①入ってくるお金を増やして、出ていくお金を減らす
まずはコレです。
「なんだ、そんなこと」と思ったかも知れませんが…これこそが原理原則です。
当たり前みたいなことですが、実際にコレが達成できれば経営は成立します。
「入っているお金」とは、年商とか売上とかいうヤツですね。
収入ともいえます。
「出ていくお金」とは、家賃とか光熱費とかいうヤツですね。
支出ともいえます。
「入っていくお金」から「出ていくお金」を差し引いて残ったのが利益です。
つまり、 (収入)-(支出)=(利益) というわけですね。
より正確には税金や控除を考えなくてはいけないのですが、ここでは省略しておきます。
世の中の仕組みとしては原理原則で当然のことですが、これから個人事業として独立開業しようという人の頭の中には入っていないことも多いです。
バリバリ働いて「収入を増やそう!」と思う方は多いようですが、しっかり節約して「支出を減らそう!」と思う方がどうも少ないようですね。
収入を増やす努力、支出を減らす努力、両方が必要です。
どっちも同時進行でやっていかなければ利益が増えていきません。
本当に当たり前みたいですが絶対に忘れないでください。
「入ってくるお金を増やして、出ていくお金を減らす」ようにしていくのが経営者としての仕事です。
②キャッシュインを早くして、キャッシュアウトを遅くする
さっきの原理原則と似ていますが、ちょっと違います。
これはお金の出入り(キャッシュフロー)における原理原則です。
「キャッシュイン」とは現金が入ってくること、もしくはそのタイミングのことを言います。
「キャッシュアウト」は現金が出ていくこと、もしくはそのタイミングのことです。
「早くお金が入ってくるようにして、ゆっくりとお金が出ていくようにする」つまり『手元にお金がある時間を長くする』のがお金の出入りに関する原理原則です。
キャッシュインの例
例えばこんな感じです。
・Aさんは施術後すぐに、その日の治療費を支払ってくれます。
・Bさんは月末にまとめて1ヵ月分の治療費を支払ってくれます。
・Cさんは5回分の治療費を先にまとめて支払ってくれます。
キャッシュインが早い順に並べるとCさん→Aさん→Bさん ですね。
これは経営上、大事にするべき順番でもあります。
お金は早く入ってきたほうが良いので、先払いしてくれるCさんは経営上ありがたい存在です。
オマケや割引しても手放してはいけません。
早くお金を入れてくれる人は逃したくないので正規の5回分より安い「回数券(5回券)」を作って価格的に優遇し囲い込むのもいい戦略だと思います。
反対に、お金を入れるのが遅いBさんは支払いを伸ばした分だけ上乗せした治療費を請求してもいいと思います(これがなかなか難しいんですが…)。
ペナルティをつけると悪い噂になるといけないので、「月末にまとめて払う」といった後払いやツケ払いという前例は作らないようにしておきましょう。
キャッシュアウトの例
例えば、10万円で治療に必要なマシンを購入したとします。
・A社では購入時に代金を全額キャッシュで支払います。
・B社では金利・手数料ゼロで10回払いが可能だそうです。
・C社では商品が取り寄せになるそうでモノは来月、支払は今すぐ「現金でお願いします」だそうです。
キャッシュアウトが遅い順に並べるとB社→A社→C社ですね。
お金はなるべく遅く、ゆっくりと出ていったほうがいいのでB社はとってもありがたいですね。
金利や手数料なしで10分割払いができるので今後も長くお付き合いしていきたい相手です。
反対にC社はどうでしょう?
商品は来月でないと届かない上に支払いだけ今スグしないといけないのでキャッシュフロー(お金の流れ)の観点ではよくありません。
ここだけ見れば、わざわざC社で買い物をする理由がありませんよね。
キャッシュアウトを遅くする最も簡単な方法はクレジットカードを活用することです。
開業するなら事業用のカードを持っておくと便利ですし、確定申告も楽になりますよ。
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◆まとめ
ここまでに出た原理原則
「入ってくるお金を増やして、出ていくお金を減らす」
「キャッシュインを早くして、キャッシュアウトを遅くする」
この2つをしっかり守れば経営に問題が生じることは少ないと思います。
特に我々は「個人事業主」であり、取り扱う現金も(法人と比べれば)非常に小額で分かりやすいものです。
小額だからこそ、収入を増やすための努力を積み重ね、支出を減らすための節約を徹底すれば、その結果が生活に反映されやすいものです。
さらにお金が出入りするスピードを把握して管理するだけでも経営に余裕が生まれやすいです。
「個人事業は小回りが利く」ということですね。
経営の原理原則を理解して、自分自身の事業=ビジネス=仕事に当てはめて考えるようにしてください。
これから独立開業するという人は尚のことです。
なんとなく経営するようではお金に困ることもあるかも知れませんよ。
何事も、まずは原理原則から理解しておくと分かりやすいと私は考えています。