いわゆる【無資格問題】ってありますよね?
整体とかリラクゼーションとかのアレです。
様々に議論されているのですが、いつまで経っても宙ぶらりのままです。
私は国家試験をパスした有資格者なのですが、この問題について少し考えてみました。
結論から書くと「西洋医学も東洋医学も、整体やリラクゼーションなんかの慰安も、全部アリ!寛容にいこうゼ!」というのが私の意見です。
くれぐれも興味のある方だけ読んでみてくださいね。
「無資格マッサージ」と「整体」は別問題
そもそも、この話は「無資格マッサージ師」と「整体師」がゴチャ混ぜになっているのが問題です。
「無資格マッサージ師」と「整体師」は別々に考えないといけません。
整体師の排除を求めて保健所に問い合わせたが門前払いにされた…なんてことも耳にしますが、そりゃそうです。
無資格でマッサージを生業をしているのは明らかなルール違反ですが、特別に資格の要らない整体を生業にしても全く問題ありません。
保健所も「医療」の区分ではない整体やリラクゼーションを健康被害もないのにどうこうできるはずもないのです。
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私個人としては「ルールのなかで公正であれば別に今のままでも問題ない」と思っています。
①まず「あんま指圧マッサージ師」の国家資格を持っていない人が「マッサージ師」を名乗って施術するのはダメです。
同様に、「はり師」の国家資格を持ってないのに鍼治療を行うのもダメです。
こういうのは明らかなルール違反なので絶対にダメです。
一般には禁止されていることを許可するのが「免許」なので、国の許可なく禁止行為をやると罰せられます。
これはNGです!
②次に整体師ですが、これは国家資格がなくとも生業にすることができます。
整体やリラクゼーション、カイロプラクティックは公序良俗に反したり、一般に禁止されている行為ではありませんからね。
整体師さんが整体師として働いただけで逮捕されたり摘発されたり罰せられたりってことは絶対にありません。
ですので整体は全面的にオッケーだと思います。
元来、国の資格・免許・許可が必要ない仕事をして何が問題だと言うのでしょうか?
例として、クルマと自転車。
この辺はクルマと自転車の関係に似ていると思います。
・クルマを運転するのは基本的に「一般には禁止」されています。
1トン以上ある乗り物ですから事故になると危ないですからね。
国から許可を得た人(有資格者)だけが自動車を運転することができます。
・一方で自転車に乗るには国の許可は必要ありません。
もちろん自転車が禁止されているわけでもありません。
誰が自転車に乗っても(安全運転であれば)全面的にオッケーです。
言うまでもありませんが、
クルマは鍼灸・柔整・マッサージ
自転車は整体・リラクゼーション
の比喩です。
免許がないのに車を乗り回すのは絶対にダメですけど、自転車はオッケーです。
だって、そもそも自転車に乗るには免許は必要ないんですから。
「事故が起こってはいけない!」のは車も自転車も同じです。
安全に注意することは大前提ですが、国家資格の有無に関わらず不幸な事故はいつだって起こりえます。
その責任は事故を起こしてしまった人が取るべきものです。
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よく「専門的知識に乏しい無資格整体はダメ」とか「リラクゼーションは国家資格じゃないから信用しちゃダメ」とか言われがちですが、そんなことは全くないと思いますけどね。
国家資格を有する者は優れていて、国家資格を有していない者は劣っている?
そんなの簡単に決められるわけがないですよ。
良し悪し・合う合わない・効いた効かなかった…そういうのを決められるのは患者さん(ユーザー)だけです。
車でも自転車でも、鍼灸でも整体でも、ユーザーが好きに選べばいいと思いますし、「好きに選べる」というのは良いことだと思います。
「価値下げによる自己肯定」はいかがなものか?
整体やリラクゼーションなどにやたらと攻撃的・否定的な有資格者、いますよねぇ。
それもまた「多様な意見のひとつ」なので別にいいとは思いますけど、度を越えて過激な人は怖いです。
国家資格がない人を下げる(否定する)ことで、国家資格を有する自分を上げたい(肯定したい)という感じかのでしょうか?
もしくは競合相手を増やしたくない(減らしたい)ということなのかも知れません。
それなのに近しい職域の悪口を撒き散らすのは、私が傍から見る限り「ちょっと…どうなのかな」という感じです。
個人的な妬み嫉みを、あたかも社会的正義かのようにスピーチするのは…う~ん。
「有資格者である自分の治療院が繁盛しないのは、無資格者を野放しにしているせいだ!」と言いたいのかも知れません。
果たしてそうなんでしょうか?
経済的に成功しないホントの理由はそこなんでしょうか?
もし仮に整体やリラクゼーションが全面的に禁止になったとしても、有資格者のところに患者とお金がドッサリ流れてくるわけではありません。
整体・リラクゼーションが一掃されれば鍼灸マッサージ柔整が一気に繁栄するというほど単純なものでもないはずです。
整体やリラクゼーションを悪者に仕立てて原因を押し付けるのではなく「整体やリラクゼーションに負けないように、有資格者である自分も頑張るぞ!」という風に考えたほうが健全じゃないかなと思います。
資本主義の競争社会なんで、免許や資格があるからといって経済的に保護されるわけじゃありませんからね。
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オブラートに包まずに言えば、整体やリラクゼーション(場合によっては現代西洋医学や医師)をネット上で叩きまくっている有資格者は、そうしないと自己肯定できないんだと思います。
他者の価値を下げることで、自分の価値を守ろうと必死なんだろうなと。
そうやって攻めの姿勢を見せておかないと、自分が攻められちゃいますからね。
もちろん本当に心の底から健康被害について心配されている方もいらっしゃるとは思いますが、「価値下げによる自己肯定」という側面も多分に含まれていると思います。
整体師さんは何も悪くない!
「有資格者が善・整体師さんが悪」ってことは絶対にありません。
選ぶ側の患者さんとしては選択肢が多い方がいいときもあるでしょうし、その数ある選択肢のなかから選ばれるように自分の仕事をしっかりやればいいんじゃないかなと私は考えています。
整体業で生計を立て、家族を養っている方も大勢います。
国から禁止もされてませんし、ましてや犯罪行為でもないんですから、それを仕事にすることには何の問題もないでしょうよ。
「職業に貴賎なし」です。
そもそも国家資格があるからといっても技術を保証するものでもありません。
技術もあって人間性も確かな整体師さんもいれば、技術もなくてどうしようもないクソみたいな性根の有資格者だって当然いますからね。
※言わずもがなですけど、逆も然りです。
当たり前ですけど、クソみたいな整体師もいれば、真摯に治療をしている有資格者もいます。
肩書きだけで、その個人の性質について決めつけることは絶対にできません。
整体師さんの仕事はライト層からのニーズも大きいでしょうし、繰り返しますが全く問題がないとしか言いようがありません。
強いて問題があるとすれば有資格者と無資格者を取り巻くルールが整っていないという点だと思います。
こういう制度上の「不備」を指摘したり批判したりするのはまだ分かります。
しかし整体やリラクゼーションを生業とする「個人」をSNSなどで攻撃(口撃)するのは明らかにお門違いです。
「整体師が幸せだと、鍼灸師は不幸せ」みたいな感じで個人攻撃するのは了見が狭いとしか言いようがないように思います。
身に付けた技術を社会に提供し、報酬を得て、自身や家族の幸福を追求していくことは国家資格の有無に関係がありません。
そもそも世間に受け入れられているのでは…?
ふと思ったのですが、アレコレ言っているのは狭い業界の中の一部の人間だけで、実際に世間では整体やリラクゼーションが受け入れられているのではないでしょうか?
「整体やリラクゼーション系の店が増えて困る!あんなのイヤだ!」という声を業界以外の人から聞いたことがありません。
極めて少数の過激で声の大きい反対派が目立つだけで、実際のところ世間では大した問題にすらなっていないのではないかという気もします。
私みたいに「整体もリラクゼーションもオッケー!」だと思っている有資格者も少なからずいると思いますけどね。
もっと気軽にリラックスしたい・心地よくなりたいという社会的ニーズを背景に、整体やリラクゼーションは世の中に歓迎されていると思います。
・生命に関わる検査や治療は病院。
・より良く生きるために治療や予防は鍼灸やマッサージ。
・手軽な慰安やリラックスは整体やリラクゼーション。
もう既に自分の状態に合わせて治療・予防・慰安を選択できる人が増えてきているのかも知れません。
患者さん(消費者・ユーザー)だってバカじゃないですからね。
自分の体や健康のことですから、自分で調べたり考えたりして、そのときに必要なサービスを選択していると思います。
まとめ
国家資格を持たない者がマッサージ師や鍼灸師と名乗って施術するのは絶対にダメです。
これは徹底して取り締まるべきだと思います。
しかし整体やリラクゼーションには何の問題もありません。
国家資格がなくても仕事ができるんですから、何のルール違反もしてないじゃないですか。
自転車と同じで事故がないように安全に注意してやればいいだけだと思います。
整体師さんやセラピストさんの撲滅に躍起になっている有資格者に言いたいのは「整体やリラクゼーションを肯定しても、鍼灸やマッサージを否定することにはならない」ってことです。
選ぶ側からすれば、鍼灸・柔整・あんま指圧マッサージ・整体・カイロ…などなど、国家資格の有無に関わらず全部ひっくるめて似たようなグループですからね。
国家資格の有無に関わらず、良いものは重宝されて残り、悪いものは淘汰されて消えるというだけの話ですよね。
国家資格があれば健康保険や自賠責保険や労災保険を使えますし、その辺を最大限に活用するのも患者さんに喜ばれると思います(これは有資格者にしかできませんから)。
資格や免許の有無に関係なく、患者さんに選ばれるように努力や工夫を重ね、患者さんの役に立てるように仕事を続けていくのみだと私は考えます。
最後にドイツの哲学者カントの言葉をひとつ。
互いに自由を妨げない範囲で、わが自由を拡張すること、
これが自由の法則である。