触診のコツ。「ザックリ触診法」。



治療前後に必ず行う触診ですが、コツは「全身をザッと診る」ことだと私は思います。


『え?慎重に、入念に、事細かく触診しないとダメなんじゃないの?』

『ザッと調べるだけじゃ病態も筋緊張も把握できないのでは…?』


と思われる方も多いかも知れませんが、私がオススメする触診は、あくまでも「全身をザッと診る」ことで全体的に把握するのがコツです。


特に順序は問いませんが、


・(うつ伏せ)頚部・三角筋部・肩甲骨周辺・背中・腰・臀部・ハムストリングス部・下腿部

・(仰向け)前腕部・上腕部・鼠蹊部・脛部


は調べておきましょう。もう、ほぼ全身です。


ザッと診ていくだけですから1分もかかりませんよ。


触診には指先ではなく、指から手掌全体を使います。


指先だけでグイグイ・チョンチョンと押しても全体の理解には繋がりませんし、ピンポイントで触られると患者さんが不快感やくすぐったさを覚えることも珍しくありませんからね。


手掌全体で筋肉を掴むように全身をザックリ調べていきます。


「点」ではなく「面」の意識で調べていくことが重要だと思います。


触診で重要なのは、何よりも全身を大まかに調べ「どこが一番に緊張しているか」を見極めることです。


大まかで必要十分です。


第○腰椎の外方○センチに筋緊張が…とか、○○穴と××穴に硬結が…とか、□□筋に著しい緊張が…とか、そこまで細かく決めつけなくても構いません。


そんな風にやっていると『木を見て森を見ず』な状態に陥りかねませんからね。


まずは全体像の把握が必須です。



「今日は右の腰が一番かたいな…」とか、

「首が全体的に張っているな…」とか、

「前回治療時よりも筋緊張が緩和された感じだな…」とか、そんな感覚でオッケーです。



いい加減に思われるかも知れませんが、まずは大局的に患者さんの身体を理解しないことには治療のイメージやゴールが描きにくくなってしまいます。


細かい触診をもとに診断や施術を進めていくと、その道筋から外れたときに軌道修正が難しくなってしましますからね。


特に初診時の触診では意識的に大まか・大ざっぱに患者さんの身体を観察し、最も気になった部位から治療していくぐらいの感じのほうが上手くいくと思います。


まずはザックリと全体を把握し、そこから徐々に細かく診ていく感じです。


左右差・治療前後の差・2回目以降の患者さんであれば前回治療時との差…などなど、問診以上に筋肉の状態は客観的で雄弁です。


何度も何度も調べているうちに、だんだんとコツが掴めてくると思います。


「全身をザックリ観察」していくことから是非はじめてみてください。