私が使う鍼で最も細いのが5番です。
あとは8番、10番、20番と続きます。
筋肉を狙ってしっかり刺激するスタイルなので、1番や2番では「刺激が足らない!」という感じです。
あ、5番が良くて1番がダメって話じゃないですよ。
患者さんからしてみれば番手なんてのは関係のないことで「鍼は鍼」でしょう。
5番や8番を使うと聞くと「刺激過多にならない?大丈夫?」と疑問に思われる鍼灸師さんが多いようです。
結論からいえば大して問題ありません。
「5番は太い!20番なんてとんでもない!」と思われる方は、どうも学生時代の1番や2番の鍼が基準になっているようですね。
あれはつまり、学生同士(ヘタクソ同士)が鍼をするにあたって少しでも痛みを軽くするために細い鍼を使っているだけの話で、番手の基準がそこにあるというわけではありません。
刺激の強弱は鍼の太さや長さ、通電や置鍼の長さで絶対的に決まるものではなく、患者さん一人ひとりの「許容できる刺激量」で変わってくる相対的なものだと思います。
絶対的な基準などありませんし、要するに患者さんごとに【適刺激】は違うということですね。
つまり5番では刺激が足りない患者さんもいれば、1番でも刺激が多すぎる患者さんもいるということです。
刺激量の考え方
あくまでも一般論ですが、女性より男性のほうが刺激に耐えられ、同様にお年寄りより若者、やせ型より肥満傾向(もしくは筋肉質)、カリカリした神経質タイプよりユッタリした大らかなタイプ、急性症状患者さんより慢性症状患者さんのほうが刺激に強いといわれています。
覚えておいて頂きたいのは、間違いなく例外もあるということです。
ガッチリと鍛えられた筋肉のアスリートであっても切皮だけの刺激で強烈に痛がったり、失神してしまう人もいます(極めて稀ですけどね)。
その患者さんの適切な刺激量を見極めながら(これがなかなか難しいのですが…)、必要に応じて鍼の太さや長さを調節して、ちょうどいい【適刺激】を与えることが大切ですね。
初診の患者さんは刺激にどこまで耐えられるのか、適切な刺激量はどれぐらいか分かりにくいので、そういう場合ではイメージより「やや弱め」から試してみるのが良いと思います。
適量より少なかった刺激を後から足すことはできますが、適量より多かった刺激を後から引くことはできませんから。
5番の鍼が全ての患者さんにとって刺激が多過ぎるということはありませんし、1番の鍼が誰しにも優しい刺激とは限りません。
患者さんを診ながら観察して想像して、鍼の太さ・長さ・本数・通電や置鍼の時間などを組み合わせてで上手に刺激量を調整してみてくださいね。
※私みたいに緊張した筋肉を狙うスタイルであれば、ある程度の番手と深度が必要ですが、経絡治療等ではその必要もないと思います。
治療スタイルや必要刺激量に応じて最適な道具を選んでいただけたらと思います。
何にしても固定概念が可能性を狭めること、ありますからね。