頭部への刺鍼についてです。
ご存じの通り、頭部には数多くのツボがあるわけですが、あまり細かく気にしなくても大丈夫です。
強いて具体的に言えば、
・ツボだと百会と四神聡を意識する程度でオッケーです。
・筋肉だと側頭筋あたりを狙うといいと思います。
しかしツボや筋肉の位置より大事なのは触診した際の感覚です。
頚部から皮一枚で繋がっていますから、肩や首の筋肉が凝り固まっている人は頭皮も同じように凝り固まっています。
また精神的なストレスが多い人の頭皮もピーンと張りつめたような感じです。
それを鍼の刺激で緩和させてやると、患者さんは非常にリラックスできて効果的です。
後頭部や側頭部の筋肉があるところを除けば、頭皮の下には頭蓋骨しかないので安全に問題なく刺鍼できるかと思います。
怖がらず思い切っていきましょう。
もはや言うまでもないとは思いますが、子供の場合では泉門が閉じきっていないこともありますのでご注意を(そもそも小児の頭部に刺鍼するようなことはないかと思いますが…)。
大抵の場合では切皮と少しばかりの刺入で十分な刺激が得られます。
それで5~6mm程度の刺入ですかね。
もっと刺入させたい場合は、横刺に近い感じで切皮を行い、刺入させながら同時に頭皮を鍼側に寄せてやるようにすると割と簡単に頭蓋骨に沿うかたちで入れることができます。
鍼を頭皮に入れるというよりも、頭皮を鍼に入れるイメージです。
押手と刺手を同時に近づける感じですね。
◆頭部は出血しやすい
また、頭部には毛細血管が多いので簡単に出血します。
気を付けていても血が出るときは出るので、その後の対応が大切になってきます。
抜鍼後、出血の確認は欠かさないようにし、出血があれば慌てずにアルコール綿花などでしっかりと圧迫止血を行いましょう。
止血に使った綿花は患者さんの目に触れないように片付けます(血まみれの綿花を見て驚かれたり不信感を抱いたりする方もいますし、血が出る=下手な鍼灸師と思われる方も一定数いますからね)。
もし患者さんが出血したときは
「頭は出血しやすい場所です。今も少し血が出た(滲んだ)ので圧迫止血しておきました。もう血は止まってますよ。」
という感じで、ありのままをお伝えすれば問題ないかと思います。
毛髪もあって押し手も作りにくいかも知れませんが慣れればスッとできるようになります。
まずは百会と側頭筋部の計3本、もしくは四神聡へ計4本を試してみてはいかがでしょうか?
頭部への刺鍼は思っている以上に良い効果を引き出せることが多いのでオススメです。
◆要点まとめ
・考え過ぎず、まずは百会・四神聡・側頭筋部を狙う。
・押手と刺手を同時に動かして、刺入させる。
・実施ないとは思うが、子供の頭部への刺鍼は注意。
・頭部は出血しやすいことを前提に考えておく。