肩甲骨周辺の筋肉への鍼も忘れてはいけません。
しっかり解説していきますね。
肩や首、背中の症状がある際によく使う部位です。
また、いわゆる四十肩や五十肩といった患者さんの肩甲骨周辺を狙うことは非常に多いです。
よく使うのは、よく効くからですよ。
他の部位と同様に、あまり細かく筋肉を分けて考えなくてもいいと思います。
単一の筋だけに注目し過ぎると全体像が見えにくくこともありますからね。
ザッと広く大きく触診して、まずは肩甲骨周辺のどこが固いのか、緊張しているのか大まかに把握しておきましょう。
刺鍼は大柄で筋肉質な男性や鍼に慣れている患者さんであれば2寸8番で、
小柄で肩甲骨周辺の筋肉が発達していない女性や鍼に不慣れな患者さんであれば寸3の5番あたりを用いるのがいいのではないかと思います。
あまり鍼が細過ぎると筋緊張が緩和しにくいこともありますので、やはり5番以上、どんなに細くとも3番以上の太さは欲しいところです。
鍼先は必ず外に向く(正中線から離れる)ようにします。
直刺だと骨にすぐ当たるので、やや斜刺で入れていきます。
肩甲骨上であれば、それ以上は深く入ることはありませんので安全ですが、骨の位置を確認せず内方に直刺に近い角度で入れていくと胸膜に達し、気胸を起こすおそれもあります。
くれぐれも鍼先の向きと到達深度だけは注意しておいてください。
斜刺で正中から離れるようにすれば2寸程度ならスーっと入っていきますよ。
深部の筋緊張をしっかり緩めてやると非常に効果的です。
通電して筋肉を動かし緊張を緩和させていくことも可能です。
しっかりと緩めることができれば患者さんは手(腕)が長くなったように感じることもあります。
それだけ肩甲骨周辺の筋が縮こまっていたというわけですね。
◆女性の患者さんには配慮が必要
肩甲骨周辺を狙う場合では、患者さんにその周囲の肌を露出してもらうことになります。
男性であれば上半身裸になって頂ければ問題ありませんが、女性ではそうもいきません。
「今から肩甲骨まわりに鍼をしますので、すいませんが上半身は下着のみになってください。私は出ておきますから、このタオルを背中にかけた状態でお待ちください。お願いします」
というような感じで誘導して不快感がないように配慮が必要です。
また、あらかじめ肩甲骨周辺に鍼をすることが分かっているのであれば
「次回の治療では肩甲骨周辺に鍼をしますので、キャミソールなんかの肩や肩甲骨が出せる下着でお願いします」
という感じで連絡しておきましょう。
鍼や電気を通す際もタオルをガバッと広く取ってしまうのではなく、左右片方ずつ施術部位を露出させると良いのではないかと思います。
鍼や通電の後は、順番を逆回転させて、タオルを背にかけた状態から「私は出ておきますから、また服を着てください」と声をかけて着衣に誘導します。
肩甲骨周辺・股関節周辺は、体幹と四肢を繋いでいる重要な箇所です。
体幹の症状にも四肢の症状にもよく用います。
効果も高いので、まずは安全な治療をキッチリと行いたいですね。
◆要点まとめ
・まずは広く大きく触診して緊張部位を把握する。
・筋肉の厚さや体型で鍼の番手や長さを決める。
・鍼先は必ず外向きに。到達深度にも注意。
・女性の患者さんには配慮を忘れずに。