鍼灸師さんが独立開業する際、
自前の治療院を構える「店舗型」がいいのか?
院を持たず往診のみの「出張型」がいいのか?
迷われることもあるかと思います。
果たしてドッチで開業するのがいいんでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。
◆イキナリ結論!
「ドッチでも好きにやればいい!」
これが究極的な結論なんです。
実際に開業されるアナタが、ホントに「好きなようにやればいい」んですよ。
誰でもない自分自身の独立開業なんですからね!
どちらか一方だけしか成功しないなんてこと絶対ありません。
店舗型でも出張型でも、好きなほうでオッケーです!
…ホントはコレで終わりなんですけど、もう少し深堀りしながら整理してみましょうか。
◆成功するビジネスの4原則
まずはじめに紹介したいのがコレです。
堀江貴文さんが示した成功するビジネスの4原則なんですが、
①小資本で始められる
②在庫がない(あるいは少ない)
③利益率が高い
④毎月の定期収入が確保できる
この4つを満たしているビジネスは成功しやすいそうです。
店舗を構えない出張型はコレに全て該当するようにも思います。
そもそも鍼灸治療というのは「無形のサービス」を売っているので仕入れも在庫もありません。
院を構えれば家賃や光熱費などの固定費がかかりますが、出張専門だとそれすら必要ありません。
なんだか往診・出張専門って良さそうですよね!
それでは出張専門のメリット・デメリットをもう少し考えてみましょうか。
◆出張専門のメリット
出張・往診を専門とする最大のメリットは、何といっても初期費用が抑えられることです。
店舗を構えるとなると敷金・礼金から工事費用・物品購入費用など、どんなに小さい店舗でどんなに少なく考えても100万円や200万円は軽くかかってきます。
その反面、出張専門スタイルなら、それらの費用を一気に省略して、移動の足となる車やバイクだけで仕事ができてしまいますので、初期費用の面でかなり有利ですね。
患者さんにとっては足や腰が痛くて身動きができず通院が困難というときに施術者が自ら足を運んでくれるというのは、やはりありがたいものだと思います。
高齢者からのニーズは高まる一方でしょうね。
さらにランニングコストもコンパクトです。
自前の院を持たないので家賃や光熱費などがかかりません。
必要なのは移動に使うクルマやバイクの関連費用だけというのも非常に魅力です。
◆出張専門のデメリット
なんだかスゴーク良さそうな出張専門スタイルにも穴があります。
「出張・往診」を専門にして、固定の患者さんや紹介の患者さんを多く抱えているうちは良いんです。
しかし、それがいつまで続くのか誰にも分かりません。
ご高齢の患者さんが亡くなってしまうことも日常的にありますし、紹介のリレーが途絶えることも珍しくありません。
それは店舗型の診療でも同じかも知れませんが、
店舗があれば人の目に触れる機会があり、
↓
地域に定着してクチコミが広まり、
↓
そこから新規の患者さんの来院に発展する可能性もあります。
治療院という目に見える場所を軸にした資産(お金を生み出す仕組み)があるのとないのとでは大違いです。
同じ場所で長年に渡って診療を続けているというのは、それだけで周辺の潜在的な患者さんに信用や信頼を生みやすいと思います。
しかし(あくまでも個人の意見ですが)店舗を持たない「往診・出張」専門型だと信用や信頼を広範囲に蓄積するのが難しいように思います。
無店舗型ビジネスですから潜在的な患者さんの目に留まりにくいのです。
また言葉を選ばずに表現すれば、患者さんに振り回されながら仕事を続けなくてはならず、心身の疲労度は「往診・出張」のほうが大きくなるでしょう。
次の予約時間が迫っていたり…待ち時間が長かったり…移動中の交通事情にイライラしたり…自分ではコントロールしにくい部分もあるので、なかなか難しいところです。
さらに健康保険のルールに振り回されるということも今後はあると思います。
これから高齢者が圧倒的に増えていくので、今まで通りに療養費を支給していたのでは財源が枯渇してしまいます。
柔整師さんと同様、健康保険取扱いが厳格化していくのは間違いないです。
◆店舗型のメリット
店舗を構えて開業するメリットもモチロンあります。
もうお分かりかと思いますが、要するに「出張専門の逆・反対」になるってことですよね。
店舗という実在の拠点あるので
・人目につきやすく、
・地域密着で長期的な信頼を蓄積しやすく、
・どっしり腰を据えて施術できます。
そんな感じで有利になる面もありますが、やはりデメリットも出てきます。
◆店舗型のデメリット
これも出張専門型のメリットと対を成すわけですが、
一番のデメリットは、やはりコスト面での負担でしょう。
院を構えるにあたっては決して安くはない資金が必要です。
加えて賃料や光熱費などのランニングコストも毎月かかってきます。
開業資金を借り入れることもあるでしょうし、借金を背負うことに不安を感じる方も多いのかなと思います。
関連:鍼灸院の開業資金を「日本政策金融公庫」から上手く借りる方法
◆「小規模院+出張」という欲ばりセット
そこで個人的にオススメしたいのが小さい院を構えつつも出張に応じるスタイルです!
店舗型と出張型の「いいとこどり」を実現できる欲ばりセットです。
もし「往診・出張」をやるのであれば期間を限定にして後から店舗を構えるか、小さくても店舗という拠点を構えた上で、さらに往診や出張に応じるという方法が個人的にはいいと思います。
やはり目に見える「場」があるというのは強みですからね。
別に大きくて立派な店を最初から構える必要はありません。
小さくても腰を据えて診療できる治療所があったほうが信頼を積み重ねていけるので長期的には有利になると私は考えます。
◆もし「出張・往診」だけでやるなら…
まぁ、しかしながら、どういう形態で開業するかは開業する先生の自由です。
「絶対に出張と往診だけでやるんだ!」という先生の気概を否定する気は全くありません。
健康保険を活用して歩行困難な患者さんの役に立ち、結果として年収1000万円超の鍼灸師さん・マッサージ師さんを何人も知っています。
もし「出張・往診」スタイルで貫くというのであれば、なにかしらの「場」を築かれることをオススメします。
小さい院(店舗)は現実の「場」ですが、ネット上に仮想的な「場」を用意することも可能です。
これからは高齢者であってもネット検索で治療院を自ら探すのが当たり前になるでしょうしね。
とにかく選ばれるように工夫していくことは必須です。
・どういう人間が
・どういう治療を提供していて
・どういう効果が期待できるのか
それが知れるだけでも選ばれる可能性はグッと高まります。
写真を使ってイメージを膨らませるともっといいでしょうね。
そういうネット上の「場」を持つということは、ネット上に資産(お金を生み出す仕組み)を持つのと同義です。
これは絶対にしなければいけません。
ベターじゃないですよ、マストです!
本格的な高額WEBサイト・ホームページとかじゃなくてもいいです。
基礎情報と熱意が伝わればオッケーです!
フェイスブックでもツイッターでもインスタグラムでもオッケーです!
無料で作れる「場」も結構ありますから自院を持つ・持たないに関わらずドンドンやってみることを強くオススメします。
関連:治療院のホームページは要らない?もっと大事なのは「比較検討」されること。
◆まとめ
・店舗を構えるも、出張専門にするのも先生の自由。
・出張型は初期費用が抑えられるが、「場」がない。
・出張専門は小回りは利くが、安定感に欠ける。
・店舗型は「場」を作れるが、費用がかかる。
・店舗型は安定感があるかも知れないが、小回りが利かないことも。
・小型店舗とネット情報で「場」を作る。
・「店舗+出張」もアリなのでオススメ!
さぁ!店舗型か出張型か、ドッチにしますか?
もし何かの参考になったのであれば幸いです。
関連:一人院長の治療院ビジネスは「小商い」で上手くいく
◆蛇足ですが…。
車かバイクを使って出張・往診される先生は、保険にだけはキッチリ入っておいてくださいね。
特に「弁護士特約」のオプションは付けておいたほうがいいですよ。
治療を提供して利益を得る過程で交通事故などに遭って大きく損失を出してしまっては目もあてられません。
「もしも」や「万が一」には備えておきましょう。
自分が全く悪くなくても交通事故に巻き込まれることも十分に考えられます。
「備えあれば憂いなし」といったところですね。